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黒い百合

224 :201:03/12/26 20:31
>>223
 夕刻
 まるで、佇む寮が 咲妃を圧倒しているかのようだ。
 少なくとも、咲妃にはそう感じられた。
 と言うのも、取り分けて今日は寮に戻るのが嫌だったからだ。
―――今朝の事。  結局 昨晩は眠る事が出来なかった為、咲妃は起きたままで居た。
 そして、昨晩の一件で咲妃がお姉さまに対して抱いた 恐怖感は尋常なものでは無く、
その事実は最近の不眠症と連結して、随分と咲妃の判断を鈍らせていた。
 その後――つまり今――に、何が待っているのかも考えずに、咲妃はお姉さまの目覚めを待たずして
学校へ逃げ出したのだった。
 そして待っていたのが、増長された恐怖という ツケ。
「……どう……しよう……」
 学校でもそんな事を呟いたのを思い出す。
 その時とは、酷い違いだ……。
「……戻れないよ……」
 怖い。 咲妃の頭の中には、昨夜の あの恐ろしい笑みを浮かべるお姉さまの姿があった。
 朝に逃げた分が 忘れ去られているはずが無い。
 戻ったら最後。 殺されてしまう……。

「……助けて……綾野……」
 お姉さまと咲妃の寮部屋の戸に背を持たれたまま、咲妃は弱々しく 綾野の名を呟いた。
 だが、そんな小さな声が ずっと遠くの家の中にいる綾野に届くわけがない。
「………」
 結局、咲妃はその戸を開ける事が出来ないまま、再び 寮を後にした・・・。      

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